資産税Q&A

資産(相続・贈与)税に関わる節税スキームについて教えてください。

貸家の購入、配偶者への贈与、信託、相続時精算課税制度、暦年贈与、住宅取得資金及び教育資金贈与、養子縁組、生命保険の有効活用など多くの選択肢とそれぞれメリットとデメリットがあります。
相続対策の答えは一つではありません。ですから専門家である税理士を選んで相談することが大切です。当事務所では、資産税の取扱件数が毎年20件以上もあり、安心で確実な対策を講じることを基本に、ノウハウと実績を活かして申告のお手伝いをさせて頂いております。
「相続税はかかるのですか?」「自分で調べてもよくわからない。」など、まずはお気軽にご相談下さい。(TEL 011-817-1806)

相続税を少しでもかからないようにしたいのですが?

なんと言っても、早めの対策が一番、確実に節税ができます。とにかく財産総額を把握することからはじめましょう。
相続が発生してからでは、ほとんどの対策はできません。きちんと話し合って、短期ならびに長期対策を講じましょう。

相続税はどう変わったのですか?

相続税の基礎控除額が改正され、なんと4割も縮小しました!!

基礎控除 平成26年まで 平成27年以降
定額控除 5,000万円 3,000万円
法定相続人
比例控除
1,000万円×法定相続人の人数 600万円×法定相続人の人数

また、2億円を超える場合は、増税となりました。

法定相続分に応じる取得金額 平成26年まで 平成27年以降
2億円超~3億円以下 40% 45%
3億円超~6億円以下 40% 50%
6億円超 50% 55%

小規模宅地の特例とはどんな制度ですか。

相続財産に次のような土地があれば一定の面積まで、評価を減ずることができます。減額割合が50~80%と非常に高く節税に有利です。

利用状況 小規模宅地等の区分 減額面積 減額割合
事業用宅地等 特定事業用宅地等 400㎡ 80%
貸付事業用宅地等 200㎡ 50%
居住用宅地等 特定居住用宅地等 330㎡ 80%

※様々な適用要件があります。

相続時精算課税制度は節税に効果的なのでしょうか?

60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子・孫への生前贈与について、子・孫の選択により利用できる制度です。贈与時には贈与財産に対する軽減された贈与税を支払い、その後相続時にその贈与財産とその他の相続財産を合計した価額を基に計算した相続税額から、既に支払った贈与税額を精算します。

相続時精算課税制度
贈与税の計算 (贈与額-2,500万円)×20%(一定)
贈与者の年令 60歳以上の親から
受贈者の年令 20歳以上の子または孫への贈与
相続税との関係 相続税計算時に精算
精算時の贈与財産評価は贈与時の時価
納税 特別控除2,500万円(累積)を超えた贈与時ごとに納税
相続時に精算
節税効果 相続時に評価が上がっているものを贈与すると相続財産の圧縮ができ節税効果あり。
大型贈与の可能性 大型の贈与がしやすい。
制度の移行 一旦選択すると相続時まで継続(暦年贈与への移行は不可)

この制度は、相続税の前払いとして一定の金額を概算で負担させておき、相続が発生した時点で精算するというものです。相続“税”対策というよりは、将来相続が発生した時に争いがないよう生前に財産の分配を行うことが、この制度の利用効果です。

贈与税の税率も教えて下さい。

平成27年度分から税制改正がなされ、その累進課税が少し緩和されています。
すなわち、直系尊属(親や祖父母など)からの贈与に対しては税率も低くなるよう設定されています。

一般贈与財産用 直系尊属→20歳以上の者の場合
基礎控除後の課税価格 税率 控除額 基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円 400万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円 600万円以下 20% 30万円
600万円以下 30% 65万円 1,000万円以下 30% 90万円
1,000万円以下 40% 125万円 1,500万円以下 40% 190万円
1,500万円以下 45% 175万円 3,000万円以下 45% 265万円
3,000万円以下 50% 250万円 4,500万円以下 50% 415万円
3,000万円超 55% 400万円 4,500万円超 55% 640万円

教育資金及び子育て資金贈与とはどんな制度なのでしょう。

まとまった資金をお持ちで、子供の教育や子育てに役立ててほしい方は利用するのもいいでしょう。

教育資金贈与 結婚・出産・子育て資金贈与
受贈者 子・孫など(30歳未満) 子・孫など(20歳以上50歳未満)
非課税限度額 1,500万円 1,000万円
対象となる支出 学校の入学料・授業料 結婚関連の費用(300万円まで)
修学旅行費・学校給食・学校指定制服 新居の家賃
スポーツ・音楽・絵画など習い事の月謝 出産費用・不妊治療費用
留学渡航費、進学引っ越し代、定期券代 子供の治療費、ベビーシッター代・保育費用
対象とならない支出 賭博・遊興・娯楽などに関する支出 新居の家具・家電、ベビー用品
終了時 受贈者が30歳に達した時 受贈者が50歳に達した時
期限 平成31年3月末 平成27年4月1日~平成31年3月末
終了時の課税 終了の日に贈与があったものとして贈与税を課税
手続き 信託銀行などと信託契約を締結

税務Q&A

消費税とはどんな仕組みなんですか?

消費税とは、商品や製品を買ったときやサービスの提供を受けた場合、私たち消費者が消費税を支払い、お店の人がその消費税の金額を税務署に納める仕組みとなっています。

消費税がかかる取引ってどのようなものですか?

国内で行なわれるすべての商品の販売やサービスの提供(映画の鑑賞)などの取引です。
さらに、国外から輸入されてくる商品にも輸入時に課税されます。

消費税がかからない取引ってあるんですか?

はい、あります。
印紙、商品券などを渡したり、社会保険医療や福祉事業などは非課税取引となっています。

消費税を納める義務があるのはどんな人たちですか?

事業者が消費税のかかる取引をした場合には、納税しなけけばなりませんが、どの事業者も公平に納税するかというと、そうではありません。
課税売上げが1,000万円を超えた事業者が納税義務者となりました。
平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度については、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても特定期間(※)における課税売上高が1,000万円を超えた場合、当課税期間から課税事業者となります。
なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。

※ 特定期間とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間をいいます。

納税義務者(課税事業者)チェック
■消費税を納める義務があるのはどんな人たちですか?
 YES … 免税事業者になれます。消費税の申告納税の義務はありません。
 NO  … 消費税の申告・納付が必要です。

■前々期の売上高の金額は5,000万円以下ですか?
 YES … 簡易課税事業者(選択の届出が必要)になれます。
 NO  … 本則課税事業者です。

本則課税方式
「売上と一緒に預かった消費税」から「仕入などの経費と一緒に支払っている消費税」を差し引いた額を納める方式。

簡易課税方式
「売上と一緒に預かった消費税」に、「預かった消費税に、事業の種類ごとに定められた『みなし仕入率』」をかけて、差し引いた額を納付する方式。

<みなし率>
第1種事業(卸売り)90%
第2種事業(小売)80%
第3種事業(製造業等)70%
第3種事業(その他、「飲食店、金融」)60%
第5種事業(サービス業等「不動産、運輸」)50%

納付の方法について教えてください。

個人事業者は翌年の3月31日まで、法人は課税期間の末日の翌日から2ヶ月以内に納付しなければなりません。
直前の課税期間の消費税額が48万円を超える事業者においては、中間申告と中間納付を行なわなければなりません。


コラム

『税金天国??』

みなさん、こんにちは。税理士の出口です。

読者のみなさんは「税金天国」と言う言葉を聞いたことがありますか?
英語だと、「Tax Heaven」と書きます。
実はこれは「Tax Haven」の誤訳なのです。
正確な訳語は、「租税回避地」です。
でも、「租税回避地」といわれても、なんのことだか分からないですよね。
租税回避地とは、所得税・法人税・相続税などの税金が課されないか、課されても低率である国や地域のことをいうのです。
ですから、誤訳の税金天国と言う方がイメージとしてはぴったりです。

では、具体的にはどこが"タックスヘイブン"なのでしょうか?有名なところでは、モナコ・ルクセンブルク・ケイマン諸島・香港などがあります。
個人の方が、このタックスヘイブンを利用してメリットを受けるとすると、やはり海外投資がメインになるでしょう。
例えば預金の利息をみてみると、日本では源泉分離課税といって、利息を支払う際に支払額の20%を差し引かれて、口座に入金されます。
ところが、タックスヘイブンの銀行に預金しておくと、無税のところもあるのです。

それでなくても、現在日本は低金利です。
その上、20%の税金まで差し引かれると、手取額はとても少なくなってしまいます。
そんな日本を脱出して、海外に投資資金を移動する方も多くなってきているようです。

日本では、税制改正が増税の方向で着々とすすんでいます。
その中でも一番の目玉は、いままであった定率減税の部分の見直しされそうだということです。
いままでの定率減税は、個人の所得税の最終税額に対して一律20%の税額(25万円を限度)の軽減措置をとる制度です。
来年平成18年分の所得税からこの20%を10%にすることは決まってしまいました。
その後については廃止とする可能性が非常に高いのです。
この軽減措置が全て廃止となった場合、課税所得の金額で500万円(注)以下の方は単純に所得税の金額が20%従来の比べて増加することになるのです。
課税所得の金額で500万円超の方は、単純に所得税の税額が年間25万円増加することになります。
あまりに増税、増税となると、日本を脱出して税金天国にいく人が増えるのも自然の流れですよね。

                                        税理士 出口 秀樹

(注)給与所得者の場合だと収入で800万円程度の人が課税所得で500万円になります。

『現在住んでいる分譲アパート(一軒家)の買い換え』

税理士の出口秀樹です。

このコーナーは不動産に関する税金について、読者の方々が普段疑問に思っていることを中心に随想形式で書いていきたいと思っています。
「税金」というと、なにやら難しい、堅いなどあまりいいイメージがないというのが、世間一般の実感でしょう。
確かにそうです。
そもそも、使っている言葉が堅いのですから。
例えば、"住んでいる"ということを"居住用"とか、"売り渡す"ということを"譲渡"などといったりするのです。

どうしてもっと易しい表現にできないのでしょうか。
それは、これらの用語が税法という法律のなかの用語をそのまま使っているためなのです。
その一方で、「税金」は私たちの日常生活のなかで切っても切り離せない存在でもあります。
知っておくだけで無駄な税金を払わなくてよいケースも、しばしばあるのです。
そういった、ケースを中心に実例を使いながら易しく楽しく書いていきますので、よろしくお願いいたします。

さて、記念すべき第一回は、ある税務相談コーナーでの質問について書いていきます。相談にいらっしゃったのは、年の頃50才前後の女性でした。
一般的に税務相談コーナーは、どこか相談しにくい雰囲気があるためか、あまり楽しげな雰囲気ではありません。
その女性も最初は、どこか話ずらそうにポツリポツリと状況を話し始めました。

<女性>
「今、分譲マンションに住んでいるんだけど・・・子供の学資も目途がついたし、一軒家に住み替えしようと思ってるんだけど・・・」

<出口>
「売る値段は?それと最初に買った値段と何年住んでいるんですか?」

<女性>
「1,500万円くらいかな、買ったのは2,500万位だけど、平成8年から住んでるから6年前」

<出口>
「そうですか、で心配してるのは?」

<女性>
「売った1,500万円に対して税金がかかるって聞いたのだけど」

<出口>
「奥さん、税金はたぶんかからないですよ。むしろ売ることによって損が出るからその分、他の給料などの所得から差し引くことができます。」

<女性>
「ええー、そうなの」

<出口>
「ただ、申告するのはちょっと面倒ですけどね」

このパターンは「特定居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の繰越控除」、一般的な言葉では「住んでる不動産を売却して損したときには、その損を繰り越して控除できる」という特例を使うことになります。
この特例を使うためには、毎年3月15日までの所得税の確定申告を行い、その申告書に色々な書類を付け加えなければなりません(注)。
その書類とは、その不動産を売ったときの書類はもちろん、購入したときの書類などです。
申告書では、その損をした金額を給与所得などほかの所得から差し引き、もし他の所得で税金が引かれていたら、その引かれていた税金を戻してもらうことも可能です。

さらに、損をした金額のうちその年のほかの所得から引ききれなかった分については、翌年に繰り越して控除することもできるのです。
実際この特例を使うと、損をした金額が最大3年間繰り越せるので、その3年間については所得税がかからないこともありうるのです。

でも、意外と使われていない特例でもあります。
では、なにもしなかったらどうでしょう。そうです。なにもしなければ、なにも起こりません。
税金を支払うこともないですが、申告すれば還付されたかもしれない税金も、戻っては来ないのです。

税金のことで知らないでいると、損をしてしまう典型的なパターンなのです。
ただし、難点は確定申告するのが、普通の場合よりちょっと面倒な点です。
もし、面倒だなと感じましたら、税理士に依頼するのも一法です。税金の相談は税理士に。

(注)実際この特例を適用する場合にはその他の要件がありますので、適用するときは税務署または税理士にご相談下さい。


カレンダー

経理・税務の1年間のお仕事を確認してみましょう。
このカレンダーは、下記の会社をモデルとしています。

 4月
経理
新入社員受入れ
事務決算書作成
定期昇給に伴う給与ソフトの修正
税務
軽自動車の納付(各都道府県の指定日まで)
固定資産税、都市計画税第1期の納付
 5月
経理
労働保険の年度更新手続き締め切り
税務
自動車税の納付(各都道府県の指定日まで)
法人税、法人地方税、法人事業税、消費税の確定申告と納付の
  期限(31日)
 6月
税務
納期の特例を受けている場合の住民税の納付期限(10日)
市民税の特別徴収額を新年度分に切替
 7月
経理
賞与の支払い
税務
納期の特例を受けている場合の源泉所得税の納付期限(10日)
固定資産税、都市計画税第2期分の納付
 8月
経理
延納を申請した場合の労働保険
  第2期分の納付(31日)
賞与にかかわる社会保険の特別保
  険料の納付(31日)(7月賞与分)
税務
大規模事業者(消費税の年税額400万円超)における第1四半期
  分の消費税等の中間申告と納付(31日)
 9月
 10月
経理
社会保険料の定時決定により、新しい
  健保・厚年の標準報酬額の適用開始
税務
特別農業所得者への予定納税基準額等の通知
 11月
経理
延納を申請した場合の労働保険料
  第3期分の納付(31日)
税務
法人税、法人地方税、法人事業税、消費税の中間申告と納付の
  期限(31日)
大規模事業者(消費税の年税額400万円超)における第2四半期
  の消費税等の中間申告と納付
 12月
経理
賞与の支払い
年末調整
税務
固定資産税、都市計画税第3期分の納付
 1月
経理
新年分の扶養控除等申告書を従業員から
  受け取る(最初の給与支払日まで)
源泉徴収票を本人に渡す
賞与にかかわる社会保険の特別保険料の
  納付(12月賞与分)
税務
納期の特例を受けている場合の源泉所得税の納付期限(10日)
納期限の特例を受けている場合の源泉所得税の納付期限(20日)
償却資産申告書の提出法定調書の提出(31日/税務署)
給与支払報告書の提出(31日/各市町村役場)
 2月
経理
決算の準備
  (各部門への協力依頼、決算計画など)
税務
大規模事業者(消費税の年税額400万円超)における第3四半期
  分の消費税等の中間申告と納付
 3月
経理
決算の準備(実地棚卸・科目見直し等)
税務
所得税の確定申告
所得税確定損失申告書の提出
期限贈与税の申告